楽しいお酒の席、ついつい飲みすぎて翌朝、「頭がガンガンする…」「気持ち悪い…」と後悔した経験はありませんか？
頭痛や吐き気、猛烈なだるさといった二日酔いの症状は本当につらいものですよね。
「一刻も早くこの不快な状態から抜け出したい！」そう思うのは当然のことです。
この記事では、二日酔いを早く治すための具体的な方法について、その根本的な原因から順を追って詳しく解説します。
正しい対処法はもちろんのこと、回復を妨げるどころか悪化させてしまう可能性のあるNG行動、症状緩和に役立つおすすめの食べ物・飲み物、さらには急な二日酔いに備えてコンビニで手軽に買えるアイテムまで、あなたの「困った！」に応える情報を網羅的にご紹介します。
まずは知っておこう！二日酔いが起こる原因とメカニズム
効果的な対策を立てるためには、まず敵を知ることから。
なぜ二日酔いは起こってしまうのでしょうか？ そのメカニズムを理解しましょう。
アルコールの分解過程で生まれる「アセトアルデヒド」とは？
私たちが飲むお酒に含まれるアルコール（エタノール）は、肝臓で分解される過程で「アセトアルデヒド」という物質に変化します。
実はこのアセトアルデヒド、人体にとって有毒な物質であり、頭痛、吐き気、動悸、顔面紅潮といった二日酔いの不快な症状を引き起こす主な原因と考えられています。
通常であれば、アセトアルデヒドは肝臓にある酵素（ALDH2など）によって、さらに無害な酢酸へと分解され、最終的には水と二酸化炭素になって体外へ排出されます。
しかし、自分の処理能力を超える量のお酒を飲んでしまうと、アセトアルデヒドの分解が追いつかなくなり、血液中に高濃度のアセトアルデヒドが長時間とどまってしまうのです。
これが、二日酔いの直接的な引き金となります。
脱水症状も関係？二日酔いを悪化させる要因
「お酒を飲むとトイレが近くなる」と感じたことはありませんか？ アルコールには強い利尿作用があり、飲んだ量以上に体内の水分が尿として排出されてしまいます。
さらに、アルコールを分解する過程でも水分が消費されるため、体は思った以上に水分不足、つまり「脱水状態」に陥りやすくなります。
この脱水症状は、頭痛やだるさ、喉の異常な渇きといった二日酔いの症状をさらに悪化させる大きな要因です。
水分が不足すると、血液中のアセトアルデヒド濃度も相対的に高まってしまう可能性も指摘されており、二日酔いの回復を遅らせることにも繋がります。
二日酔いしやすいお酒・飲み方ってあるの？
お酒の種類によって、二日酔いのしやすさに違いはあるのでしょうか？
一般的には、ウイスキーやブランデー、赤ワインといった色の濃い蒸留酒や醸造酒は、製造過程で生まれる「コンジナー」と呼ばれるアルコール以外の成分（メタノール、フーゼル油、タンニンなど）を比較的多く含みます。
これらのコンジナーが、二日酔いの症状を悪化させる一因になるとも言われています。
ただし、最も重要なのはお酒の種類よりも「飲み方」です。以下のような飲み方は、二日酔いのリスクを格段に高めてしまうため注意が必要です。
- 飲むペースが速い: 肝臓のアルコール分解能力（一般的に1時間に体重1kgあたり約0.1gと言われる）を大幅に超えてしまい、アセトアルデヒドが蓄積しやすくなります。
- 空腹時の飲酒: 胃が空っぽの状態だと、アルコールが急速に吸収され、血中アルコール濃度が急上昇し、肝臓への負担も大きくなります。
- ちゃんぽん（色々なお酒を混ぜて飲む）: 度数や種類の異なるお酒を飲むと、酔いの回り方が変わり、自分がどれだけ飲んだか把握しにくくなります。結果的に飲みすぎてしまうことが多いです。
- 睡眠不足や体調不良時の飲酒: 体が疲れていたり、風邪気味だったりすると、肝臓の機能も低下している可能性があります。このような状態での飲酒は、普段より酔いやすく、二日酔いにもなりやすくなります。
こんな症状が出ていたら要注意！二日酔いの主なサイン
二日酔いの症状は、飲んだお酒の種類や量、その人の体質、その日の体調によって様々ですが、一般的に以下のような症状が現れます。
ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
頭痛・ズキズキ感
最も代表的な症状の一つです。
アセトアルデヒドの影響や脱水による脳の血管拡張などが原因と考えられています。
ズキンズキンと脈打つような痛み（拍動性頭痛）を感じることが多いです。
吐き気・胃のむかつき
アルコールやアセトアルデヒドが胃の粘膜を直接刺激したり、胃酸の分泌を過剰にさせたりすることで起こります。
胸やけや胃もたれ、ひどい場合には嘔吐してしまうこともあります。
全身のだるさ・倦怠感
体が重く、何もやる気が起きない状態です。
脱水症状や、アルコール分解のために体内のエネルギー（糖分）やビタミンが大量に消費されること、さらにはアルコールによる睡眠の質の低下などが複合的に絡み合って引き起こされます。
その他（喉の渇き、集中力低下など）
上記以外にも、以下のような症状が見られることがあります。
- 異常な喉の渇き（脱水症状の明確なサイン）
- 筋肉痛、関節痛
- めまい、ふらつき
- 集中力の低下、思考力の低下
- 光や音に対する過敏性
- 気分の落ち込み、イライラ感、不安感
これらの症状が複数当てはまる場合、つらい二日酔いの状態にある可能性が高いと言えるでしょう。
【基本編】二日酔いを早く治すための正しい対処法
「とにかく早く楽になりたい！」その気持ち、よく分かります。
つらい二日酔いの症状を少しでも早く和らげるために、まず行うべき基本的な対処法を3つご紹介します。
何よりも優先！十分な水分補給のポイント
二日酔い対策の最重要ポイントは「水分補給」です。
脱水状態を解消することが、あらゆる不快症状の緩和につながる第一歩となります。
- タイミング: 目が覚めたら、まずはコップ1杯の水を飲みましょう。
その後も、喉が渇いたと感じる前に、意識してこまめに水分を摂ることが大切です。
一度にがぶ飲みするのではなく、少量ずつ頻繁に飲むのが胃への負担も少なく効果的です。 - 温度: キンキンに冷えた水は胃を刺激してしまうことがあります。
できれば常温の水か、少し温かい白湯などがおすすめです。
水、スポーツドリンク、経口補水液、どれがいい？
何を飲むのがベストなのでしょうか？
それぞれの特徴を見てみましょう。
- 水: 最も手軽で、コストもかからない基本的な選択肢です。
まずは水をしっかり飲むことから始めましょう。 - スポーツドリンク: 水分だけでなく、汗や尿とともに失われたナトリウムやカリウムといった電解質や、エネルギー源となる糖分も同時に補給できます。
脱水症状が強い場合や、だるさを感じる場合に有効です。
ただし、商品によっては糖分が多めのものもあるため、飲みすぎには注意しましょう。 - 経口補水液 (OS-1など): 水分と電解質（特にナトリウム）を、体が最も効率よく吸収できるバランスで配合されています。
脱水症状がひどい場合や、吐き気などで食事が摂れない場合に特に効果的です。
ドラッグストアなどで購入できます。
基本的には水で十分ですが、症状の強さに応じてスポーツドリンクや経口補水液を上手に活用するのが良いでしょう。
体を休ませる：睡眠と安静の重要性
二日酔いの時、あなたの体はアルコールとその代謝物であるアセトアルデヒドを分解するために、フル稼働で頑張っています。
この体の回復作業を邪魔しないためにも、無理に動き回らず、できる限り安静に過ごすことが非常に重要です。
可能であれば、追加で睡眠をとるのが最も効果的です。
アルコールは睡眠の質を低下させるため、たとえ長く寝たとしても眠りが浅くなりがちです。
質の高い休息をとることで、肝臓の働きも助け、回復を早めることができます。
静かで暗い、快適な環境で、楽な姿勢でゆっくり休みましょう。
消化の良い食事でエネルギー補給
飲みすぎた翌日は、胃腸もアルコールの刺激や負担で弱っています。
そんな状態で脂っこいものや消化の悪いものを食べると、かえって胃もたれや吐き気を悪化させてしまう可能性があります。
食欲がないかもしれませんが、空腹状態が続くと低血糖を引き起こし、だるさや倦怠感が強まることもあります。
アルコールの分解にはエネルギー（糖分）も必要となるため、消化に良いものを少量でも良いので口にするように心がけましょう。
・おすすめの食事
おかゆ、雑炊、よく煮込んだうどん、具なしのスープ（コンソメスープ、野菜スープなど）すりおろしリンゴ、バナナ、ヨーグルト
・ポイント: 温かいものは胃腸を温め、活動を助ける効果も期待できます。無理のない範囲で、少しずつ胃に入れていきましょう。
【実践編】症状緩和をサポート！二日酔いにおすすめの食べ物・飲み物
基本的な対処法に加えて、特定の栄養素を含む食べ物や飲み物を摂取することで、二日酔いのつらい症状の緩和をさらにサポートすることが期待できます。
水分と電解質を補う飲み物
水分補給の重要性は前述の通りですが、より効果的な飲み物を選んでみましょう。
スポーツドリンク
水分、電解質、糖分をバランス良く補給でき、脱水と低血糖を同時にケアできます。
手軽に入手できるのもメリットです。
経口補水液
吸収率が高く、効率的に体へ水分と電解質を届けます。
特に吐き気や下痢などで水分損失が多い場合に頼りになります。
味噌汁・しじみ汁
- 味噌汁: 日本人の体に馴染み深く、水分と塩分（ナトリウム）、そして味噌由来のアミノ酸を手軽に補給できます。
豆腐やわかめ、ネギなどを加えれば、さらに栄養価を高めることができます。
温かい汁物は胃腸にも優しく、ホッと一息つけるでしょう。 - しじみ汁: 二日酔いに良いとされる代表格。
しじみに豊富に含まれるアミノ酸の一種「オルニチン」は、肝臓でのアンモニア（疲労の原因物質）の代謝を助ける働きがあると言われています。
また、肝機能をサポートするタウリンや、エネルギー代謝に必要なビタミンB12も豊富です。
インスタントタイプなら手軽に作れます。
肝臓の働きを助ける＆胃に優しい食べ物
アルコールの分解を担う肝臓をサポートしたり、弱った胃腸に負担をかけにくい食べ物を選びましょう。
果物（バナナ、柿など）
- バナナ: アルコールの利尿作用で失われがちなカリウムを手軽に補給できます。
消化が良く、エネルギー源となる糖質も豊富です。 - 柿: アルコール脱水素酵素（アルコールを分解する酵素）の働きを助けると言われるタンニンや、抗酸化作用のあるビタミンCを多く含みます。
また、カリウムも豊富で利尿作用も期待できます。 - その他: グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類に含まれる果糖は、アルコールの分解を促進すると言われています。
また、水分やビタミンCも補給できます。
大根
ジアスターゼ（アミラーゼ）などの消化酵素が豊富に含まれており、でんぷんの分解を助け、胃もたれや消化不良の改善に役立ちます。
大根おろしにして食べると、酵素を効率よく摂取できます。
梅干し
豊富なクエン酸が、エネルギー産生を助け、疲労回復効果が期待できます。
また、唾液や胃酸の分泌を促し、食欲増進や消化を助ける働きもあります。
塩分補給にも役立ちます。
おかゆ・うどん
消化が良く、水分と糖質を効率的に補給できる二日酔いの時の定番メニュー。
胃腸への負担が少なく、体を温める効果もあります。
卵や梅干しをトッピングするのもおすすめです。
卵料理
卵に含まれるアミノ酸、特に「メチオニン」や「システイン」は、肝臓でアルコールやアセトアルデヒドの分解を助ける働きがあるとされています。
半熟卵やスクランブルエッグ、卵スープなど、消化しやすい調理法で摂るのが良いでしょう。
しじみ、あさり
しじみ汁と同様に、オルニチンやタウリンを豊富に含み、肝機能のサポートが期待できます。
味噌汁の具や、酒蒸しなどで手軽に摂ることができます。
コンビニでも買える！緊急時のおすすめアイテム
「家に何もストックがない！でも、今すぐ何とかしたい！」そんな時でも大丈夫。
コンビニには二日酔いのピンチを救ってくれるアイテムがたくさんあります。
| 商品名 | 容量（1個あたり） | 参考価格（円） |
|---|---|---|
| OS-1 経口補水液 | 500ml | 約172円 |
| アクエリアス | 500ml | 約117円 |
| ポカリスエット | 500ml | 約183円 |
| カゴメ 野菜ジュース（食塩無添加） | 200ml | 約96円 |
| アップルフルーツカット | – | 約972円 |
| 1日分のビタミンゼリー マスカット | 180g | 約57円 |
| 素早くチャージ ドリンクゼリー | 180g | 約218円 |
| 永谷園 生みそタイプみそ汁 あさげ | 1食 | 約16円 |
| 永谷園 しじみ70個分のちから味噌汁 | 1食 | 約151円 |
| バナナ | 1本 | 約108円 |
| トップバリュ ギリシャヨーグルト | 1個 | 約138円 |
| メイバランス プリン味ゼリー | 220g | 約208円 |
| トップバリュ おにぎり小粒梅干 | 130g | 約301円 |
| 激烈炭酸水 | 330ml | 約640円 |
逆効果になるかも？二日酔いの時にやってはいけないNG行動
「早く治したい」という気持ちから、良かれと思ってやったことが、実は症状を悪化させたり、回復を遅らせたりすることがあります。
以下の行動は絶対に避けましょう。
迎え酒：一時しのぎにしかならない理由
二日酔いの不快感を紛らわすために、さらにアルコールを摂取する「迎え酒」。
一時的に感覚が麻痺して楽になったように感じるかもしれませんが、これは非常に危険な行為であり、絶対にNGです。
これは、単に新たなアルコールで脳を麻痺させているだけで、根本的な解決にはなりません。
それどころか、すでに疲弊している肝臓に追い打ちをかけ、アルコール分解をさらに遅らせてしまいます。
回復が遅れるだけでなく、アルコール依存症のリスクを高めることにも繋がりかねません。
コーヒー・濃いお茶：カフェインの利尿作用に注意
「カフェインで頭をシャキッとさせたい」と思うかもしれませんが、コーヒーや緑茶、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには強い利尿作用があります。
ただでさえ脱水状態にある二日酔いの時にカフェインを摂取すると、さらなる水分排出を促し、脱水を悪化させてしまう可能性があります。
また、カフェインは胃酸の分泌を促進するため、胃のむかつきや痛みを悪化させることも考えられます。水分補給は水やスポーツドリンクなど、カフェインを含まないものを選びましょう。
熱いお風呂・サウナ：脱水を悪化させるリスク
「汗をかいてアルコールを体外に出そう」と考え、熱いお風呂に長時間浸かったり、サウナに入ったりする人がいますが、これも避けるべきNG行動です。
アルコールやアセトアルデヒドは、汗から排出される量はごくわずかです。
むしろ、大量の発汗によって体内の水分がさらに失われ、脱水症状が深刻化するリスクのほうがはるかに高いです。
また、飲酒後は血圧が不安定になりやすく、熱いお風呂やサウナは血圧の急激な変動を引き起こし、心臓に大きな負担をかけるため非常に危険です。二日酔いの時は、ぬるめのシャワーを浴びる程度にとどめておくのが賢明です。
油っこい食事・刺激物：胃腸への負担増
二日酔いの時には、「こってりしたラーメンが食べたい」など、なぜかジャンクなものを欲することがありますが、これも我慢が必要です。
天ぷらやカツ丼、ラーメンといった脂肪分の多い食事は消化に時間がかかり、ただでさえ弱っている胃腸に大きな負担をかけてしまいます。
吐き気や胃もたれが悪化する原因になります。
同様に、唐辛子をたっぷり使った辛い料理や、ニンニク、スパイスが効いた刺激の強い食べ物も、胃の粘膜を荒らし、胃痛や胸やけを引き起こす可能性があるため避けましょう。
無理な運動
「運動して汗を流せばスッキリするかも」と考えるのも危険です。
二日酔いの状態での運動は、脱水症状を助長するだけでなく、アルコール分解で疲弊している体にさらなる負担を強いることになります。
また、平衡感覚や判断力も低下しているため、怪我のリスクも高まります。
心臓への負担も増えるため、絶対にやめましょう。二日酔いの日は、安静にして体を休めることが最優先です。
症状別！つらい二日酔いを和らげるセルフケア
二日酔いの症状の中でも、特に「頭痛」「吐き気」「だるさ」は多くの人を悩ませます。
それぞれの症状に合わせたセルフケアを知っておくと、より的確に対処できます。
頭痛がひどい場合
冷やす？温める？
二日酔いの頭痛は、血管が拡張してズキンズキンと痛むタイプが多いです。
この場合は、濡らしたタオルや冷却ジェルシートなどで、こめかみやおでこなど痛む部分を冷やすと、血管が収縮して痛みが和らぐことがあります。
逆に、首や肩の凝りからくる緊張型頭痛の場合は温めるのが有効ですが、二日酔いの場合はまず冷やしてみるのが一般的です。
市販の頭痛薬を使う際の注意点
痛みがどうしても我慢できない場合は、市販の頭痛薬（鎮痛剤）を使うことも選択肢の一つです。しかし、使用には注意が必要です。
アルコールが体内に残っている状態での服用は、胃腸への副作用が出やすくなったり、肝臓に余計な負担をかけたりするリスクがあります。
- 飲むタイミング: 飲酒から十分な時間が経過し、アルコールが体から抜けたと思われるタイミングで服用しましょう。
- 用法・用量を厳守: 必ず添付文書をよく読み、定められた用法・用量を守ってください。飲みすぎは禁物です。
- 薬の種類: アセトアミノフェンは比較的胃への負担が少ないとされますが、肝臓への影響も考慮が必要です。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsは、解熱鎮痛効果が高い一方で、胃腸障害のリスクがアセトアミノフェンより高いとされます。
「空腹時を避けて服用する」「水で正しく服用する」ことも重要です。 - 迷ったら相談: どの薬が良いか分からない場合や、他に服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
安易に薬に頼るのではなく、まずは水分補給と休息をしっかり行い、それでも痛みが続く場合の最終手段と考えましょう。
吐き気が続く場合
楽な姿勢をとる
吐き気が強い時は、無理に動かず楽な姿勢で休みましょう。
横になる場合は、万が一嘔吐してしまった場合に吐瀉物が気管に詰まるのを防ぐため、体を横向き（側臥位）にするのが安全です。
ベルトや衣服を緩めて、体を締め付けないようにすることも大切です。
市販の胃腸薬を選ぶポイント
吐き気や胃のむかつきが続く場合は、症状を和らげるために市販の胃腸薬を使うことも考えられます。
- 薬の種類: 胃酸の分泌を抑える薬（H2ブロッカーなど）、胃の粘膜を保護・修復する薬、胃の運動を活発にする薬、消化を助ける酵素薬など、様々なタイプがあります。
自分の症状（胸やけ、胃もたれ、吐き気など）に合わせて選びましょう。 - 注意点: 頭痛薬と同様に、アルコールとの同時服用は避け、用法・用量を守ることが大前提です。制酸剤の中には、他の薬の吸収に影響を与えるものもあるため注意が必要です。
自己判断が難しい場合は、薬剤師に相談するのが最も確実です。
もし水分すら受け付けないほど吐き気がひどい場合や、嘔吐が何度も続く場合は、脱水が進む危険があるため、早めに医療機関を受診することを検討してください。
体のだるさが抜けない場合
糖分・ビタミンB群を意識した食事
全身の倦怠感やだるさの大きな原因の一つが、アルコール分解のためにエネルギー源である糖質（ブドウ糖）が大量に消費され、低血糖状態になっていることです。
これを解消するために、速やかにエネルギーとなる糖質を補給しましょう。
おかゆ、うどん、バナナ、果汁100%ジュース、スポーツドリンクなどが手軽です。
また、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際に不可欠な栄養素であり、アルコールの分解過程でも大量に消費されます。
ビタミンB1が不足すると、エネルギー不足から疲労感や倦怠感を感じやすくなります。
豚肉、うなぎ、玄米、大豆製品などに多く含まれますが、食事が十分に摂れない場合は、ビタミンB群を含むサプリメントや栄養ドリンクを活用するのも良いでしょう。
| 症状 | おすすめケア | やってはいけないNG行動 |
|---|---|---|
| 頭痛 | ・十分な水分補給 ・安静にする ・痛む部分を冷やす ・市販薬（用法・用量を守り、アルコールが抜けてから） | ・迎え酒 ・カフェイン摂取 ・熱い風呂/サウナ |
| 吐き気 | ・こまめな水分補給（少量ずつ ・安静（横向きが安全） ・消化の良い食事 ・市販薬（用法・用量を守る） | ・迎え酒 ・油っこい食事/刺激物 ・無理に食べる |
| だるさ | ・十分な水分補給 ・安静・睡眠 ・糖質補給（果物,おかゆ等） ・ビタミンB群補給 | ・迎え酒 ・無理な運動 ・カフェイン摂取 |
そもそも二日酔いにならないために！今日からできる予防法
ここまで二日酔いの治し方について解説してきましたが、一番良いのは、やはり最初から二日酔いにならないように予防することです。
少しの心がけで、翌日のつらさは大きく変わってきます。
お酒と上手に付き合うための予防策を覚えておきましょう。
飲む前にできること
- 絶対に空腹で飲み始めない: 胃が空の状態だとアルコールの吸収が非常に速くなり、血中濃度が急上昇してしまいます。
飲む前には必ず何かお腹に入れておきましょう。
チーズや牛乳などの乳製品は胃の粘膜を保護する効果が、枝豆などは肝臓の働きを助ける栄養素が含まれると言われ、おすすめです。 - 飲む前の対策ドリンク/サプリは補助的に: ウコンやしじみエキス、肝臓水解物などが配合されたドリンクやサプリメントも多く市販されています。
これらを飲むことで安心感を得る人もいますが、科学的根拠が限定的なものも多く、効果には個人差があります。
「これを飲んだから大丈夫」と過信するのではなく、あくまでお守り程度の補助的なものと考え、基本的な飲み方を守ることが重要です。
飲んでいる最中に気をつけること
- 水（チェイサー）を必ず一緒に飲む: これが最も効果的な予防策の一つです。
お酒を一杯飲んだら、同量程度の水を飲むことを習慣づけましょう。脱水を防ぎ、アルコールの血中濃度の上昇を緩やかにする効果があります。
また、自然と飲むペースを落とすことにも繋がります。 - ゆっくりとしたペースで飲む: 肝臓がアルコールを分解できる量には限界があります。
自分のペースを守り、会話を楽しみながらゆっくり飲むことを心がけましょう。 - 食べながら飲む: おつまみを一緒に食べることで、アルコールの吸収速度を緩やかにし、胃への刺激も和らげることができます。
特に、タンパク質（豆腐、肉、魚、チーズなど）やビタミン・ミネラルが豊富な野菜などをバランス良く選ぶのがおすすめです。 - 「ちゃんぽん」は避ける: ビールから日本酒、ワイン、焼酎…と色々なお酒を飲むと、それぞれのアルコール度数や吸収速度が異なるため、酔いが回りやすく、自分がどれだけ飲んだか分からなくなりがちです。
できるだけ飲むお酒の種類は絞るのが賢明です。 - 自分の「適量」を知る: これが最も重要です。
自分がどれくらいの量を飲むと翌日に影響が出るのか、過去の経験から把握しておきましょう。「今日はこれくらいまで」と決めて飲むことが、二日酔いを防ぐ最大の鍵です。
飲んだ後にできること
- 寝る前にコップ1～2杯の水を飲む: 睡眠中は水分補給ができないため、寝ている間にも脱水は進みます。就寝前にしっかりと水分を補給しておくことで、翌朝の脱水状態を軽減できます。
- 可能であればアミノ酸やビタミンを摂取: 寝る前に、アルコール分解を助けるアミノ酸（特にアラニンやグルタミンなど）や、代謝に必要なビタミンB群などをサプリメントで補給することも、翌日のダメージ軽減に役立つ可能性があります。
まとめ：二日酔いを正しく理解し、早く回復しよう！
つらい二日酔いは、アルコールの飲みすぎによって体内で有害なアセトアルデヒドが生成され、分解が追いつかないこと、そしてアルコールの利尿作用などによる脱水状態が主な原因となって引き起こされます。
二日酔いを早く治すための最も重要な基本は、「①十分な水分補給」と「②安静にして体を休ませる」ことです。
これに加えて、「③消化の良い食事」でエネルギーと栄養を補給し、必要に応じてしじみ汁や果物、スポーツドリンクなど、症状緩和に役立つ食べ物・飲み物を取り入れるのが効果的です。
一方で、良かれと思ってやりがちな「迎え酒」「カフェイン摂取」「熱いお風呂やサウナ」「無理な運動」といったNG行動は、回復を遅らせるだけでなく、体にさらなる負担をかけてしまうため、絶対に避けなければなりません。
症状がひどい場合には市販薬の利用も考えられますが、アルコールが抜けてから用法・用量を守って正しく使用することが鉄則です。
そして何よりも、二日酔いで苦しまないためには「予防」が最も大切です。
飲む前の準備、飲んでいる最中の水分補給やペース配分、そして自分の適量を守ること。
これらを意識するだけで、お酒との付き合い方は大きく変わるはずです。
この記事でご紹介した二日酔いの原因、正しい治し方、そして予防法をしっかりと理解し、実践することで、つらい二日酔いをできるだけ早く、そして賢く乗り切ってください。健やかで楽しいお酒ライフを送りましょう！
二日酔いに関するよくある質問 (FAQ)
最後に、二日酔いに関して多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
Q1. 二日酔いの薬はいつ飲むのが効果的ですか？
A1. 市販の頭痛薬や胃腸薬などを二日酔いの症状緩和のために使う場合は、体内のアルコールが十分に分解された後（飲酒終了から十分な時間が経過した後）に服用するのが原則です。
アルコールが残っている状態で薬を服用すると、薬の効果が変わってしまったり、胃腸障害や肝臓への負担増加といった副作用のリスクが高まったりする可能性があるためです。
服用前には必ず添付文書を確認し、用法・用量を守ってください。
心配な場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
Q2. 二日酔いが翌日以降も続く場合はどうすればいいですか？
A2. 通常、二日酔いの症状は長くても1日～2日程度で自然に回復します。
しかし、「嘔吐が止まらない」「水分を受け付けない」「激しい頭痛や腹痛が続く」「意識がはっきりしない」「血を吐いた」などの症状がみられる場合や、数日経っても症状が改善しない場合は、単なる二日酔いではなく、急性アルコール中毒、急性胃腸炎、膵炎、肝機能障害など、他の病気の可能性も考えられます。
自己判断せず、速やかに医療機関（内科、消化器内科など）を受診してください。
Q3. 女性の方が二日酔いになりやすいって本当ですか？
A3. 医学的に見て、一般的に女性は男性よりも二日酔いになりやすい傾向があると言えます。
その理由としては、主に以下の点が挙げられます。
- 体格と水分量の違い: 女性は男性に比べて体が小さく、体脂肪率が高い傾向があります。アルコールは主に体内の水分に溶けるため、水分量が少ない女性は、同じ量のアルコールを摂取しても血中アルコール濃度が高くなりやすいのです。
- アルコール分解酵素の活性: アルコールを分解する酵素の活性にも男女差がある可能性が指摘されています。
- 女性ホルモンの影響: 月経周期など、女性ホルモンのバランスによってアルコールの代謝が影響を受け、酔いやすくなったり、二日酔いになりやすくなったりする時期があるとも言われています。
これらの理由から、女性は特に自分のペースを守り、無理のない飲酒を心がけることが大切です。乗り切ってくださいね！
